リソースグループについて、理解があいまいな方はこちらを一読してほしい。
Azure - 始め方 リソースグループという概念
リージョン選定方法
日本のお客様であれば、特別な要件がない限り、東日本リージョンを使うことで全く問題ない。しかし、国際的なビジネスを展開するため、日本リージョン以外を選択しないといけないこともある可能を考えておこう。
どのリージョンを使えばよいか判断に迷う場合、以下のポイントで整理しよう。特にDR要件については事前に確認する必要がある。
ポイント
- 使用したいサービスが利用可能か。
- 使用したいインスタンスにスペック制約はあるか。
- ペアリージョンか。
- ネットワーク遅延が許容できるか。
- 日本とどれだけ時差があるのか。
- 法律的な制約があるか。
各項目について説明する。
使用したいサービスがあるか。
通常使用するようなサービスは、おおむね日本リージョンでも使用できるだろう。ただ、Azureの新しいサービスがリリースされた時まだまだ日本リージョンで使用できないこともある。時間が経てば、大体日本でも使えるようになるが、それまで待てない。ビジネスチャンスを逃せない。というのであれば、そのサービスが利用できるリージョンを使うほか選択肢はない。
使用するインスタンスのスペック制約はあるか。
実はこれ、制約がある。東日本リージョンはほとんどの制約を感じないだろうが、例えば、海外の比較的小さめなリージョンでは、使用するVMのインスタンススペックに制約がある。データセンター側の基盤リソースが足りないのだろうか。たまにスペックが選べない(灰色になっている)ときがあるため、気を付けること。
海外のリージョンを使用する場合は、早めに確認することをお勧めする。
ペアリージョンか。
以下のAzureサイトに詳しく記載されている。例えば、東日本と西日本リージョン。これらはペアリージョンである。一方がメンテナンスをする場合に、もう片方のペアリージョンはその時間帯ではメンテナンスが行われない。タイミングをずらしてメンテナンスが行われる。また、大規模なリージョン災害が発生した場合、世界的に少なくともペアリージョンの片方ずつは復旧するような方針がとられている。ペアでないリージョンを選択することは避けるべきだ。
引用:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/best-practices-availability-paired-regions
ネットワーク遅延が許容できるか。
これには二つ意味がある。
- クライアントとサーバの物理的距離
クラウドと言いつつ、実際はどこかにハードウェアがある。そのハードウェアまで通信が通らないといけない。クライアントが日本にあり、リージョンはブラジルなんてことになったら、クライアント-サーバ間の物理的な通信に時間がかかってしまう。そんなシステムは性能問題が出てしまう。
リージョンを日本の近くにするか、リージョン内にクライアントを作ってしまうか。どちらかの対策を考えよう。
- リージョン間の物理的距離
本番サイトとDRサイトがある場合を考えてみよう。クライアントとサーバの物理的サーバ間距離でも記載した観点がリージョン間にも当てはまる。
つまり、リージョン間の通信は、Azureのバックボーンの通信を利用しているとはいえ、それでも距離があるのだ。地域間の距離を取ることで災害が二つのリージョンに及ばないようにするDR要件を満たすことは良いように思えるが、サイト間の通信に時間がかかってシステムの性能が落ちるようでは意味がない。
通信の問題を解決するには、許容範囲までクライアント、リージョンの距離を近づけるか、もしくは、専用線サービスであるExpress Route(エクスプレスルート)を使用することを検討しないといけない。
日本とどれだけ時差があるのか。
リージョンにVMを立てる場合、それは、OSの設定で時間を日本時間に合わせることができる。一方、Auzre提供のサービスを利用する場合、そのサービスの時間は基本UTCとなる。クライアントが日本時間、Azureサービス側がUTC時間となった場合、システムが正しく動作するか事前に検討することが必要だ。
法律的な制約があるか。
中国リージョン、アメリカ政府リージョンというものが存在する。これは、地域の政治的な制約で特別なリージョンとして準備されている。これらを使うことはほとんどないだろうが話のネタとして覚えておくと面白い。
次回はネットワークセキュリティグループ(NSG)について記事にする。