このページでは、相手に伝わる綺麗な文書を書く上で必須スキルとなるWord(Microsoft Office)の使い方について説明する。Wordのスキルは簡単に覚えられる。そして、一回覚えてしまえば永久的に役立つスキルだ。
SEの仕事をしていて、最近Word(Microsoft Office)の使い方を知らない人が多いなと思う。確かに私も会社に入ったときはWordの使い方なんてほとんど知らなかった。大学でレポートを出すときもWordの便利な機能なんて知らなかったし、操作方法なんてだれからも教わることはなかった。だから私は文書を書くことがずっと苦手だった。
だけど、こちらのページにある通り独学で書くスキルについて勉強し、私も今では人並みの文書を書けるようになった。
メモ
なお、このページでは文章と文書を明確に分けて使っている。Wordは文書作成ソフトであるため、ここではセンテンスという意味での文章ではなく、目的と構造を持った文章の連なりを意味する文書の作り方について説明する。
最低限Wordで覚える操作方法チェックリスト
これらについて一つ一つ説明する。
ポイント
1.目次の使い方
読み手の前提知識を考慮した文書構成になっているか(例:本文や主張の前に、前提知識、背景、目的そして、読み手の想定について説明書きがある。)
2.章節のつけ方
主張に対して、章節のレベルがそろっているか。
3.フォントの選び方
文書の目的と格式があっているか
4.タブボタンを使って開始位置を揃える
5.文書内で、スペースを使って文書幅を調整していないか
6.文字間の調整方法
文書間が詰まり過ぎていないか。逆に文書間が広すぎないか。
これらのポイントにひと工夫入れると、その文書が相手にとってすごく綺麗に見えてくるはずだ。文書が綺麗に見えるので、相手も読みやすく、内容が頭に入ってきやすくなる。
そして、一番大事なことはWordをきれいに扱えると、読み手から仕事が出来る人と思われて信用されるようになるのだ。
私が独学で勉強した本はこちらの2冊。
目次の作り方
まずWordの使い方で多くの人が間違っているのは、“いきなり文章を書くこと”である。
ポイント
綺麗な文書を作るためにはWordを開いたら、まず構成を考えること。そして、目次を作るという順序でなければならない。この手順を踏まなければ相手に伝わる綺麗な文書は絶対に出来ない。
いきなり文書を作り始めると、自分が書きたいことを書いてしまい、相手に思いやりがなく(相手の前提知識を考慮せず)、さらには前後の文脈が繋がらない文書になってしまうからだ。
自分が文書を書いている時は、前後関係を頭の中で理解して、補完しながら読むことが出来るため、内容が通じるように思えてしまう。
しかし、“文書をはじめて読む人は、文書を頭から読み進めていく“ということを前提に文書を作らないといけない。そのため、目次を作り文書の構成を決めなければいけないのだ。
読み手に負担をかけない、読み手のことを考えておくというのもきれいな文書を作るうえでの欠かせないテクニックだ。
目次を作るためのWordの操作方法は以下である。
目次の作り方:参考資料→目次ボタン
(参考に)表紙のつけ方:挿入→表紙ボタン
まず内容を書くのではなく、文書全体の構成を決める。その際、目次機能は大変便利な機能となる。このテクニックを覚えると、自分自身が他の文書を読むときに、目次を読むだけで大体その文書が何を伝えようとしているのか理解できるようになる。
ポイント
読み手の前提知識を考慮した文書構成になっているか(例:本文や主張の前に、前提知識、背景、目的そして、読み手の想定について説明書きがある。)
章節のつけ方
章節をつけるときは、Wordのスタイルを使うこと。このスタイルという機能を使うことで、Word自身が章節を自動で目次に反映してくれるようになる。
スタイルのつけ方:ホーム→見出しを選択
文章の左にある■がスタイルを使っている印である。
スタイルを使用することで、目次に反映される。(更新ボタンを押すと反映される)
なお、章節は概ね3階層を目安に使用すること。
ポイント
- 大きな節を分けるためにスタイル1
- 節内の主張別でスタイル2
- スタイル2内でさらに細かく分ける場合にスタイル3
このくらいの階層まで使うことを心がけると良いだろう。あまり章節を分け過ぎる(深すぎると)とかえって見づらくなるため注意しよう。
なお、余計なスタイルが入ってしまった場合は、スタイルの枠内に標準(スタイル)というボタンを押せば元通りになる。
タブボタンを使って開始位置を揃える
目次と章節を考えて章節の中に文章を書く時、Wordの使い方を知らない人はキーボードのスペースボタンで開始位置をそろえるが、それはWordを使う上でやってはいけないことの一つである。
Wordで開始位置などの幅をそろえるときはタブボタンを使うこと。そうすることで、Wordが自動で文章の幅をきれいにしてくれる。
操作方法は簡単で、キーボードのタブボタンを押下すれば良し。
タブボタンを押すことで赤枠の部分に空間が挿入される。
フォントの使い分け
以外に皆が知らないことにWordのフォント効果がある。フォントは文書を格式高くもできるし、文書を柔らかく見せることもできる。
フォントの変更方法:ホーム→画像の通りフォントを選択
例えば、
游明朝 (本文のフォント - 日本語)
HGP明朝B
メイリオ
Calibri
などがある。これらフォントには、本来それぞれの使用場面が想定されている。
例えば、愉快な文書にHGP明朝Bを使っても、格式が高いためフォントから受け取るイメージと読み手が想像するイメージが合わない。このような場合、読み手が混乱してしまい文書を深く読み込まれないリスクが出てくる。
また、英語の単語を使う時に日本語用のフォントを使っても文字の間隔が適切に調整されないため、汚い文章に見えてしまう。
フォントは奥深いため他にも良く調べると良いだろう。詳しくはこちらの書籍を参考に。フォントの選び方も書いてある。
「伝わるデザインの基本」
補足テクニック:文章間のひと工夫
ここまでの説明を理解して文書を作ってみると、ある程度見栄えが良くなることを理解できたと思う。ここからはひと工夫のテクニックを記載する。まず最初は文章間の間隔調整だ。
文章間隔の調整方法:ホーム→画像の通り上下の矢印があるボタン
例えば、詰まっている文章は読みづらい印象を受ける。そのため、読み手のことを考えると文章の量に応じて文書の間隔を調整するべきだろう。試してみてほしい。
補足テクニック:ページ区切りの挿入
次のテクニックはページ区切りの挿入だ。他人が作ったWordを見てみると、節がきて、いきなりページが変わってしまう文書を見ることがある。これはいけない。なぜなら、人間の目を意図せず動かしてしまっているからだ。
ポイント
人間の目は移動する時、目の移動に脳の情報が使われているため内容理解への処理が一瞬停止してしまう。目の移動による処理の停止を防ぐために使うのが、このページ区切りのテクニックだ。このページ区切りを使うことで、自分が意図したとおりのページにすることができる。
ページ区切りの挿入方法:挿入→ページ区切り
このように見栄えが良くなる。
さいごに
文書は小学生でも書くことができる。しかし、自分の考えを文書で相手に伝えるにはある程度の技術が必要である。多くの人が文章自体は書けるために、文書を書くことを簡単に考えているが、それが本当に相手に伝わる文書になっていることは少ない。
Wordの操作一つで相手に伝わりやすい文書になることに気づいた人はその後のキャリアに差がつくだろう。是非勉強してみてほしい。勉強すれば必ず相手に伝わる文書を作れるようになる。しっかり勉強して自分の得意スキルにしてほしい。
「伝わるデザインの基本」